近年、経済成長が注目され、日本企業の進出やオフショア開発といった分野でも注目を浴びているベトナムですが、上水道などの生活インフラも順調に成長しているようです。
ホーチミン市では上水道の給水率の向上に取り組んでおり、この度12区とビンタン区にて100%に達しという発表がされました。上水道給水率というのはすごく大雑把に言えば水道がどれだけ普及しているのかという指標になります。日本では蛇口をひねると綺麗で安全な水が飲めるのが当たり前になっていますが、世界ではそうではありません。
水道普及率が100%に達したというのは、その地区のすべての世帯に水道が行き渡ったことを意味し、それだけ生活が便利で衛生的になったということなのです。
水道が普及していない地域ではどのように水を確保しているのでしょうか?地域にもよりますが、井戸によって地下水をくみ上げる方法が大半で、湖や河川から水を汲んで運搬してくることもあるかと思います。しかしこれらの水は必ず調理や飲料に適している安全な水とは言い切れません。
地下水は様々な理由によって有害物質(化学物質や細菌類等)を含んでいることがあります。もしも劇薬が土壌を汚染していて、その影響が井戸水まで達していたら、おそらくすぐに事件となり人々が注目して、その井戸水は危険だという認識が広がることでしょう。しかし、地下水汚染の怖いところは、すぐに人体に影響を及ぼすことはなくても、毎日の生活で身体に取り込まれる水が少しずつ身体を蝕んでいくことです。
もちろん水道水が汚染されることもあり得ますし、水道水が危険だと指摘する人もいらっしゃいますので、水道普及率が向上したからと言って手放しに評価できるわけではありませんが、浄水施設によって処理された水ですから、一定の検査は受けており、さすがに得体の知れない危険が沢山というほどではないでしょう。
また、水道普及率が上がるということは、水を手に入れるための水汲みや運搬といった労働から解放されることになりますので、人々のライフスタイルにも変革をもたらすわけです。
ホーチミン市の井戸水は発がん性物質や健康を害する微生物などが含まれている可能性が高いという報告があり、飲料及び調理の目的には使用しないようにと市側で呼び掛けているそうですから、この水道インフラの発展は現地に住む方々にとっても非常にありがたいものなのではないでしょうか。
ホーチミン市には冒頭でのべた12区とビンタン区の他にも6つほどの区があり、そのうちのビンチャイン郡、ホックモン郡、クチ郡などでも水道普及率向上を図っていくとのことです。
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ベトナムの父、ホー・チ・ミンの肖像 |